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機械式腕時計の“最初の1週間” ― 日差の把握とカレンダー調整の基本

オリエントのマコグレーを購入して、約1ヶ月が経った。 クオーツ時計と違い、機械式腕時計には「最初にやっておいた方がいいこと」がある。それは日差の確認だ。 これは決して義務ではない。ただ、これを一度やっておくだけで、その後の時計との付き合い方が大きく変わってくる。 今回は、実際に自分が行った日差の確認方法と、その結果(実測値)。そして日付機能付き腕時計を扱う上で避けて通れない「カレンダー操作の注意点」について、初心者向けに整理しておきたい。 最初の1週間でやること ― 日差の確認 ​機械式腕時計には個体差がある。同じモデルでも精度は微妙に違うし、置き方(姿勢)によっても進み・遅れの傾向が変わる。 ​そのため、自分の個体の「癖」を把握するために、最初の1週間は日差を確認するようにしている。 測定方法はシンプルだ。自分は以下の4パターンで確認するようにしている。 - 平置き - 横置き(3時位置が上) - 横置き(3時位置が下) - 縦置き(12時位置が上) 基準となる時刻は、スマートフォンの時刻(ネットワーク同期)を使用した。 そして、マコグレーの実測結果は以下の通り。 ​平置き: +15秒 ​横置き(3時位置が上): +2秒 ​横置き(3時位置が下): ±0秒 ​縦置き(12時位置が上): -12秒 ​この結果から、「姿勢によって精度にかなり差が出る」ということがはっきりと分かる。 日差は“調整できる” ここが機械式の面白いところである。 例えば、日中の使用で少し進み気味だったとしても、夜に「遅れる姿勢」で置いておけばトータルで帳尻を合わせることができる。 自分のマコグレーの場合で言えば、 - 平置き → 進む - 縦置き → 遅れる という傾向があるので、進みすぎた場合、夜は縦置きにしておくことで、日差のバランスを取る。 クオーツのような「正確さ」とは別の、“普段の扱いの中で合わせる”というアナログな感覚がここにある。 カレンダー操作の禁止時間帯について 日付機能付き腕時計には、カレンダーを操作してはいけない時間帯がある。 一般的には 「20時〜翌朝4時」とされている。 この時間帯は、内部で日付変更の機構が動いている最中であり、ここで無理に操作すると故障の原因になるためだ。 ​ 迷ったら「6時」へ。安全な時刻合わせの手順 問題は日付を合わせる際に「針が指している今が...
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ハイキングのお供に ― オリエント マコグリーン

気象予報のニュースでは、今週末から桜の開花ラッシュが始まるという。 いよいよ春が間近に迫っている。 この季節、私は親の墓参りのついでに、帰路はハイキングがてら山歩きをするようにしている。 ハイキングとはいえ、場所によっては足元が不安定な山道だ。 山歩き用に登山杖を買ったくらいには、なかなかにハードである。 山歩きの最中、時間を知るためにスマホを取り出すのはスマートではない。 やはりこういう時は、腕を上げるだけで時間が分かる腕時計という道具は便利である。 そんなハイキングの風景に、とてもよく似合う時計がある。 オリエントのマコグリーン(RN-AA0811E)だ。 光の当たり方で表情が変わるブルーグリーングラデーションの文字盤。 この美しい色味が、山の緑豊かな景色に映えないはずがない。 インデックスの焼け色加工も絶妙で、まるで長年付き合って来た相棒のような表情を醸し出す。 だが、実際にハイキングで腕に巻いているのは別の時計である。 現実の相棒は、カシオ MRW-200HJ-1BJHである。 ​山歩きのメイン機は、もっぱらこれだ。 安価で軽く、防水性能は10気圧。デイデイト機能に回転ベゼルまで備えている。 実用面では十分すぎる性能である。 懸念点としては素材面だろう。 ケースからバンドまで樹脂製で、長く使えば加水分解は避けられない。 電池寿命は約3年となっているが、 Amazonでのレビューなどでも電池が切れる前にバンドが加水分解でちぎれ、本体ごと買い直すことになるパターンが多いようだ。 とはいえ、この価格であれば消耗品と割り切れる範囲でもある。 余談だが、この手の安価な時計を日常的に使っている人は、腕時計をつけたまま風呂やサウナに入っていそうだという偏見を、筆者は持っている。 「10気圧防水だからサウナも余裕!」などと得意げなレビューを見かけることもあるが、防水性能と耐熱性能は全くの別物である。 このあたりは誤解されがちだが、別問題として考えた方がいい。 腕時計は精密機器だ。熱膨張による部品のわずかな歪みが、致命的なダメージになりかねない。 かつてオメガのシーマスターで、リューズを締め忘れて浸水させてしまったことがある私が言う。 腕時計をしたまま風呂に入るのはやめておいた方がいい。 原点としてのタイメックス ...

一軍3本目 ― NB1050-59A

現在の一軍は3本。 メイン機であるオリエントのマコグレーが万能で、日常生活のほとんどの場面はこれで事足りている。 とはいえ、週に2〜3回は気分を変えて別の時計を着けたくなる。 そこで一軍のサブ機の出番となる。 1本はマコパンダ。 そしてもう1本が、シチズン NB1050-59A である。 ​NB1050-59A はシチズンの機械式で、正統派のドレスウォッチである。 ケース径38mm、振動数28,800回/時。風防には無反射コーティングのサファイアガラスを備え、10気圧防水。 この価格帯の国産機械式としては、かなり完成度が高い。 正直に言って、 「時計としては非常に良い」 と言わざるを得ない名機である。 実際、NB1050-59A は「キレイめ」な服装には完璧にハマってくれる。 ケース径38mmというサイズ感は、手首周り15cmの自分にとっては文句のつけようがない収まりの良さだ。 しかし、自分の普段着は「ワーク系カジュアル」が中心である。 時計自体は素晴らしいのだが、いざ身に着けてみると、服装全体とのバランスに少し違和感を覚えてしまう。 つまり、NB1050-59A は私の普段着に対して、少し「キレイすぎた」と言える。 ​加えて、カレンダーが日付機能のみで、デイデイト(日付・曜日)ではない。この点もネックになった。 私にとっての実用性という点において、日常的に曜日の確認ができないのはやや不満が残る。 そして、パワーリザーブが数時間程度ではあるが、実測で他に所有する機械式よりやや短い点も気になった。 毎日稼働させるメイン機としてなら問題ない。 しかし、サブ機として週に1〜2回ほどの出番となると話は別で、 途端にこの差が大きな減点ポイントになってしまう。 出番がないのにゼンマイを巻くという手間だけで済まず、時刻合わせ、日付合わせの手間まで生じてしまうこともある。 ​ 伏兵 ― セイコー SARV001 ​そんな中、二軍にはシチズン NB1050-59Aの対抗馬となる腕時計が控えている。 セイコー SARV001 である。 ケースサイズは42mmとやや大きい。 筆者の手首周り約15cmには本来大ぶりなはずだが、このボリューム感と存在感が、ワーク系カジュアルの普段着にはむしろマッチしやすい。 そして何より、やはりデイデイト機能が、私の日常生活における実...

一軍パンダと迷いのパンダ ― 私に合うクロノグラフ

腕時計の世界では、白文字盤に黒いインダイヤルを持つクロノグラフを「パンダ」と呼ぶらしい。 私の一軍にも一本、パンダがいる。 オリエントの RN-TX0203S。 私はこれを「マコパンダ」と呼んでいる。 このマコパンダを購入する際、最後まで迷った一本があった。 シチズンコレクションの VO10-6771F である。 (※画像は  シチズン公式サイト  より引用) マコパンダとシチズン VO10-6771F。 この二本には共通点が意外と多い。 ・クロノグラフ機能 ・逆回転防止ベゼル ・ソーラー駆動クオーツ ただし、見た目の印象は大きく違う。 マコパンダは名前の通り、 白文字盤に黒インダイヤルの、いわゆるパンダデザイン。 対してシチズン VO10-6771Fは黒文字盤に、インダイヤルも黒。全体が黒で統一されている。 風防の素材も異なる。 マコパンダはサファイアガラス。 シチズンはクリスタルガラス(強化無機ガラス)。 細かいところでは日付窓の視認性が違う。 これはシチズン VO10-6771Fの方が優れている。 マコパンダの日付窓はかなり小さく、正直見づらい。 スペック上の違いを挙げると、次のようになる。 ケース径 VO10-6771F:40.6mm マコパンダ:42.8mm 防水性能 VO10-6771F:10気圧 マコパンダ:20気圧 価格はサファイアガラスの差だろうか、わずかにマコパンダの方が高い。 こうして並べてみると似ている時計だが、最終的な分水嶺になったのはスペックというより設計コンセプトの違いが大きかった。 マコパンダは、もともとダイバーズウォッチの系譜に連なるデザインである。 つまり、クロノグラフ付きのダイバーズウォッチという立ち位置になる。 一方のシチズン VO10-6771Fは、航空機の計器類を思わせる正統派クロノグラフウォッチのデザインが元になっている。 本来ならタキメーターベゼルが付いていそうな顔つきだが、逆回転防止ベゼルを備えたクロノグラフとして仕上げられている。 精密機械然とした正統派クロノグラフのデザインが好きな人には、VO10-6771Fはかなり魅力的に見えると思う。 だが私には繊細なイメージというか、数学や数式が似合いそうなデザインが神経質そうに見えて、やや苦手である。 対し...

いま一番お気に入りの腕時計 ― オリエント マコグレー

いま一番お気に入りの腕時計の話をしようと思う。 オリエントのRN-AA0810N。 私はマコグレーと呼んでいる。 機械式。 グレーグラデーションの文字盤。 デイデイト。 サファイアガラス風防。 20気圧防水。 回転式ベゼル。 スペックだけ見れば、特別に尖った時計ではない。 だが、いま一番かっこいいと思っている。 サイズ感はすでに知っていた。 別カラーバリエーションのRN-AA0811E(ブルーグリーングラデーション。私はマコグリーンと呼んでいる)をすでに持っているからだ。 そのおかげで装着感に驚きはない。 デイデイトも珍しくない。 回転ベゼルも、20気圧防水も想定内。 それでも、この時計ばかり選んでしまう。 理由はたぶん、文字盤の色だ。 黒ほど重くない。 シルバーほど軽くない。 中央から外周へ向かうグラデーションが、光の当たり方で表情を変える。 これまで黒系文字盤はいくつか所有したことがあるが、どれもどこか自分には合わない印象があった。 漆黒の文字盤の腕時計を着けている人を見ると、シュッとしているというか、シャープな印象があってかっこいいと思える。 だが自分が身につけると、何か違うのである。 普段着の色味の趣味と合わないのか。 自分のイエベ肌の色味と合わないのか。 どうも黒とのコントラストが強くなりすぎて、浮いて見える感じがした。 だが、このグレーは違った。 初めて、黒系がフィットした。 単純に、かっこいいと思った。 おそらく客観的に見れば、ほぼただの黒文字盤だろう。 グレーグラデーションの色味を楽しんでいるのは、たぶん本人だけだ。 機械式をローテーションに組み込む場合、気をつけたい条件がある。 それは「一番のお気に入り」であることだ。 機械式だから一番になるのではない。 メインでない機械式は、ローテーション運用では出番を奪われやすい。 出番が減ると、使わないのにゼンマイを巻くことになる。 それが億劫になり、やがて使わなくなる。 そして、ただ所有しているだけの物になる。 だから、機械式だから一番になるのではない。 デザイン、フィット感、用途、スペック、素材。 総合的に満足しているかどうか。 それが重要だ。 実は購入時、少し迷った。 ちょうど同時期に、 オリエント マコ40の2026年春夏限定モデルが出たからだ。 (※画像は  オリエント公式サイト ...

足元の道具 ― 革靴・ブーツ

腕時計、万年筆と話を続けてきたが、本来このブログは「日常的に使っている道具」について記す場所である。 革靴やブーツも、私にとっては毎日使う道具であり、実用品であり、同時に趣味の対象でもある。 近年、スニーカーの人気はやや落ち着いてきたように感じる。 もっとも、スニーカーの全盛期においても私は頑なに革靴やブーツを選び続けてきた。 スニーカーが嫌いというわけではない。 ただ、履き潰して終わる前提の履物という印象が強い。 つまり、使い捨ての消耗品である。 気に入ったものを手入れしながら、できるだけ長く使い続けたい。 そう考える自分にとって、スニーカーという道具はどこか方向性が違っていた。 また、お気に入りといえども「一足を毎日履き続ける」というのもいただけない。 道具は使えば消耗する。 長く使うためには、ある程度のローテーションが必要になる。 革を休ませ、湿気を逃がし、順番を入れ替える。 その手間こそが、道具と長く付き合うための作法だと思っている。 そのあたりの話も、これから少しずつ書いていくつもりだ。

ファッション文豪の書写と万年筆

現在所持している筆記具の数は、飽和状態にある。 画像のようにトレーに収まりきらない。 ほかにもペンケースの中や、写真に入り切らなかったペン立てにもまだある。 もはや正確な本数は数えていない。 仮に一覧を作ったとしても、ひたすら製品名を並べるだけの記事になるだろう。 書く方も読む方も、さほど面白いものにはならない。 腕時計は整理を進めているが、筆記具については処分するつもりはない。 実用品であると同時に、コレクションでもあるからだ。 そもそもこのブログは、日常的に使っている道具について記す場所である。 まずは万年筆の用途の一つから書いてみようと思う。 朝活書写というものをSNSで見かけることがある。 万年筆で小説の一文を書き写し、それをインターネット上で披露する趣味のようだ。 私は字が上手くない。 いや、正確に言えば下手である。 以前、手書きのスケジュール帳をAIに読み取らせてデジタル化しようとしたことがあるが、うまくいかなかった。 「野菜の下処理」と書いたつもりが、「野菜の大処理」と読まれ、「今日は大量に野菜の処理をするんですね!」と返された。 字が下手だと、こういうことになる。 さて話を戻す。 字は下手だが、上手くなりたいとは思っている。 文章力も向上させたい。 そこで、お披露目はしないが、私も書写をしている。 朝活でもなければ毎日でもない。 手持ち無沙汰なときの、手慰みである。 その書写に万年筆を使っている。 理由は単純だ。 なんとなく格好がいいからである。 昭和以前の文豪のような気分になれる。 いわば、ファッション文豪だ。 もっとも、使っている紙は上等なものではない。 100円ショップの国語ノート、「15マス リーダー罫入」である。 そのままなら150文字だが、リーダー罫を活用すれば1ページ600文字。 見開きで1200文字。 原稿用紙3枚分に相当する。 実に優秀なコストパフォーマンスである。 5mm方眼罫ノートの方がよいのでは、と考える人もいるかもしれない。 正直に言えば、それは私である。 しかし5mmマスでは美文字の練習になりにくい。 4マスを1文字として使うと、今度は見開き660文字。 国語ノートの優秀さがよく分かる。 現在、この書写に使っている万年筆は次の3本だ。 ・パイロット ラ...